ごぶごぶごぶの日記

お金をかけない東京散歩ほか、走ること食べること思うことを書いてます

ゴキブリからの宝塚 ベルサイユのばら

夜、パソコンを見てたら目の端に何かが動くのを感じた。まさかと思い、視線をうつすと床にゴキブリ。来やがったなぁ…。ヤツを見るのは久しぶりなので、このところほとんど使わないキンチョールの置き場所はどこだったかな?と思いをめぐらしつつ、しばらくヤツを見つめていた。こっちに向かってきたら踏んづけてやろう、そう思いながらジッとかまえていると、ヤツはUターンして素速く机の下に隠れてしまった。モップを床の隙間につっこんだり、机を蹴ったりしたが結局ヤツはその日、姿を現すことはなかった。。。

この部屋のどこかにヤツがいて、なんだか気持ち悪いななんていう思いを頭のすみに追いやると、ボクはそのまま寝てしまった。

地下鉄に乗っていた。車内はいつもほど混んではいなかった。時間つぶしに本を読むことが多いのだが、その日はなんだかぼんやりと景色のない暗い地下鉄の車窓を眺めていた。 ドアのそばに立つボクの背後に誰かがぴったりと密着している気配を感じた。顔は見えなかったが窓には長身の女性が、それも真っ白なドレスを着た女がボクの後ろに立っているのが映っていた。 そっと肩に手をかけられた。ギクッとして振り返ると、女が立っていた。目鼻立ちが寸分の狂いもなく完璧に整った、まるで古代の彫像のような顔立ちをした女。 女優の天海祐希がそこに立っていたのだった。 しっとりとした白い肌に、そこだけ切り取ったような鮮やかな赤の唇がキレイで、彼女が少し眉を潜めるだけで、その場の空間がぐにゃりと曲がってしまうような感じがした。 「いくわよ…。」ポツリと彼女はそういうと、ボクの手を引き電車を降りた。 重たそうなドアを開き、つれてこられた先は大きな劇場の中だった。客席はがらんとしていて、観客は1人もいなかった。何かのリハーサルが始まる前なのだろうか、場内はシンとしていて、静かにして耳を澄ますとホコリが舞う音が聞こえそうなくらいだった。

天海祐希は白いドレスで腕組みをしながら「はじまるのよ。。」っと細く小さな声で言った。 舞台に照明が照らされ、なんだかとても不気味な音楽が流れはじめた。舞台上に目を凝らすと何かが動いているのが見えた、その正体はヤツだった。ギョッとした。 舞台の両側の袖からなんと巨大なゴキブリたちが次々と這い出してきたのだ。遠い位置から確認できるほどの大きさ。かなりデカイ。おそらく子犬くらいの大きさであろう巨大なゴキブリたちが舞台上で何匹も何匹もうごめいていたのだった。 天海祐希は芝居がかったくっきりとした声で「これを使うのよ」というと、手に持っていたキンチョールをボクに手渡した。なんかCMでもみてるみたいだなとボクは思った。

「ムシムシコロコロ、キンチョール」「ハエハエカカカ、キンチョール」そう言いそうなほど、発声法がしっかりとしたCMっぽい口調だった。 しかしボクが客席からキンチョールを噴射したところで、舞台まではぜんぜん届かない。むなしくプシューっとあたりにふりまくだけで、ゴキブリたちにはなんのダメージもあてられないようだ。

「そうなるわよねぇ・・」客席に座り、ほおづえをついた天海祐希はなげやりにそういった。それまでの静かだった印象とは違って、とても天海祐希らしい口調で「う〜ん、そうなるわよねぇ。。」と、いった。 彼女はおもむろにたちあがると、「じゃあ。。」っと言い、大きめの掃除機のようなものを舞台に向け、そしてトリガーを引いた。

すると“ゴーッ"という大きな音と共に、ものすごい勢いでその先端から勢いよく炎が出てきて、舞台上の巨大ゴキブリを次々に焼き尽くした。かと思うと、今度はマシンガンをもった別の天海祐希がどこかから現れ、巨大ゴキブリを撃ち殺した。そしてまたかと思うと、別の白装束を着た天海祐希が現れ今度は日本刀を振りかざし、優雅に舞いながらその巨大ゴキブリを次々と倒していった。

舞台の上のゴキブリたちは勇ましい天海祐希たちの総攻撃うけて、全部死んでしまい、その場からすっかり消滅してしまった。 天海祐希の姿もそこにはもうなかった。照明もゆっくりとおとされ劇場は闇に包まれていく。

劇場にいるのはボク一人になってしまったようだ。場内は再び静かになってしまったようだ。 カタカタという音が聞こえてきた。舞台上の幕がゆっくりと上がっていった。 ジャーン”という沈黙を突き破る派手な音楽が流れ出した。

「アンドレ!ア〜ンドレ~!」というセリフをきっかけに再び舞台上はさっきとは比べられないほどの眩いばかりの光の嵐に包まれた。

ベルサイユのばら!?」 気がつけば客席は満席で舞台はフィナーレを迎えているようだ。観客の拍手や喝采を浴び登場した天海祐希が歌いだしたその曲は『愛あればこそ』 “愛、それは甘く、愛それは強く〜♪” まぶしく点滅する大階段をおりながら堂々と歌い上げるその声が凛々しくて、うっとりしながら見ていると彼女はボクのために微笑んでくれたようだ。、、 っていう変な夢をみました。 すんません。おもろかったので書いてみただけです。最後まで読んでくれた方、長文につきあってくれてありがとうございます。

 

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