ごぶごぶごぶの日記

お金をかけない東京散歩ほか、走ること食べること思うことを書いてます

伊藤輝夫

「おまえらさあ〜、そんなの何が面白いんだよ!バーカ! そんな企画はさあ、コンドームのなかにウンコと一緒に入れちゃって くちゃくちゃ噛んで吐き捨てるようなもんなんだよ、バカヤロー!!」

伊藤輝夫さんの言葉なんですけどね。。

伊藤テルオ、本名伊藤輝夫です。

学校出たての22歳の頃なんですけど。。 大阪の番組制作会社にいたころに東京へ出張に行った時のことです。 そのころボクにとっての「東京」はテレビの中で見るように 芸能人がやたらとそこら中にいて モデルみたいなきれいな女の子が甘く微笑みながら歩いてたり 走ってる車は全部高級車で とにかく、どこをとってもキラキラととてもまぶしくて 夢のような場所だけど、とてもとても遠い存在。 だったわけなんですが。

その東京で、憧れという言葉だけでは全然足りなさすぎる 子供の頃から神様のように恋い焦がれ、 こころの中で 「好きです好きです」って、密かに熱く想い続けていた、 あの天才ビートたけしさんの番組スタッフとして 仕事をできるっていうまさに夢のようなチャンスにめぐりあえたことが ホントにうれしくてうれしくて 東京に行けるって予定がきまった時から眠れぬ夜を過ごすほどに 興奮が興奮を呼び、そしてそれがなぜだか猛烈な不安に変わってしまうみたいな 変な熱にうかされてたような日々を送っておりました。

しかし、そんな甘い妄想は東京へ着いたその日から、 あっけなく打ち砕かれ、厳しすぎる現実にさらされることになるわけで。。 「元気が出るテレビ」の担当ADのうちのひとりが、 ボクが入った前日に あまりもの激務に耐えられずに現場から逃げ出したらしく

そのへたれ逃亡ADの穴埋めをボクがやらされるはめになったわけで、、 えらい大変やったんです。すごかったんです。。

それはそれは 夜はほぼ徹夜で、メシ食う時間もないし、 先輩たちのお世話や、企画会議の準備や、ロケスケジュールを組んだり 技術さんへの内容説明、弁当の手配、仮払いのお金の計算、小道具の手配、視聴者プレゼントの交渉 編集のテロップ入れ作業、収録テープ準備、、、、 その他にもいろいろあるんです。

いろいろです。

会社の電話で、ロケやもろもろの手配のため電話を 朝から何十本もかけていたそのときでした。 後ろから誰かの気配を感じたときにはすでにおそく 誰かに羽交い締めにされ、ボクはイスから引きずりおろされました?!

後頭部を壁にガンガンぶつけながら床に仰向けになると 真ピンクのスーツを着たやせた男が覗き込むようにボクを見下ろしています。 サングラスの奥の目の焦点が全くあってない「斜視」がすごく迫力があって ギョロギョロと動く目玉がその場の空気をねじ曲げてるような気がしました。。

「ねえキミ、キミって新人なの?」

仰向けになったボクは、そのままの体勢でこたえるしかなく。。 「あ、はい。初めまして、原口ともうします。」

「あ、そう。そんなとこに寝そべってないで、早く仕事仕事」

「あ、はい。」 その男の視線を感じながら、倒れたイスを元に戻し、

「仕事仕事仕事仕事」って男は手をバンバン叩きながら言うので。 ボクは仕方なく受話器を取り電話をかけ始めました。

タレント事務所の担当者が電話に出た、その瞬間。 受話器とそれを握るボクの右手がガムテープでぐるぐる巻きにされているではあ〜りませんか?!

斜視のサングラスのその男の仕業です。 ボクはあっけにとられてると、 ガハハハハ、イイネ、イ〜ネ〜!! だれか〜、まわせよ、カメラ回せよお〜〜!!オモシロいんだからさあ!!!

男は唇の周りをヨダレでビショビショにしながら大きく口を開けて笑い続けています。

何やこいつ。。ボクは呆然とその笑う男の様子を眺めるしかなかったです。

そのあと 制作会社の先輩たちが奥の会議室に集まり出したころ、 準備しておいたお菓子やお茶を会議テーブルに用意し。 ボクは後ろの方で用を言いつけられるのを待つかのように じっと立っているのですが。。。

放送作家が出してくる企画がつまんないと言いたいらしく。 彼はこういいました。

「おまえらさあ〜、そんなの何が面白いんだよ!バーカ! そんな企画はさあ、コンドームのなかにウンコと一緒に入れちゃって くちゃくちゃ噛んで吐き捨てるようなもんなんだよ、バカヤロー!!」

そうです、その男こそ あのテリー伊藤です。 あの人はすごかったっす。狂人でした。 今となっては 毎朝ワイドショーでかしこまった意見を述べてますが、、 あのときはそんなわけわからんことを言う、 変態なのか天才なのか、わけのわからんおっさんやったんです、、w

 

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