草間彌生著 「無限の網」
草間彌生本人が執筆した自伝です。
草間さんはもっと評価されるべき人だと思いました。いや、世界ではすでに高く評価されてるけど当の日本ではそうでもない。なんか最近になってはじめて、ちょっと変わった芸術家的なあつかいで終わってるような印象。その偉大さが伝わってこない。だから本人が書いた自伝を読みました。
だからダメなんだよこの国は。。って思うのだが、そんなこと言ってるオレも最近まで彼女のことはよく知らなかった。。
世界中の誰もが知るその時代を飾ったアンディウォーホル、ダリなんかとは古くからのマブダチで、彼らより一歩も二歩も先にいた人なんだよ。
ストリーキング、乱行パーティ、ハプニングパフォーマンスの元祖。時代が追いついていなかったから海外に出た。あのニューヨークでさへ、彼女の登場に戸惑ったほどの眩いばかりの圧倒的な才能。
例えば平山郁夫は国内では有名だが、海外ではさっぱり。画を描くより皇族や政治家に擦り寄る方に才能があった。だから日本を代表する現代美術家の座についたけど世界の美術界に出るとほぼ無名。
草間彌生、弱冠88歳の正真正銘の前衛芸術家。弱冠です。脳内から湧き出すアイデア、創作意欲はいまだ衰えず、あの鋭い眼光でこの世界を見つめ、今日も画を描き続けている。
それと、、
この本読んで草間さんのこと思うとなんか泣きそうになるのはなんでやろ。。その理由を考えてたら草間彌生と三島由紀夫がどういうわけか頭のなかでかぶってきて、三島由紀夫は日本を憂いて死んでしまったけど、草間さんは海外に出たから死ななかった。この人は日本にいたらもうすでに死んでしまったのかもしれない。なんて思ったりもしました。
この人たちの心の中には「狂気」が存在する。そこから逃れたいが為に表現する。創作する。
でも社会が、時代が受け入れてはくれなかった。その悲しみ。
海外で歴史を作った偉大な人のことを知ると日本のダメな所が見えてくる。そんな興味深い一冊でした。