ごぶごぶごぶの日記

お金をかけない東京散歩ほか、走ること食べること思うことを書いてます

1917

アカデミー作品賞最有力といわれながら無冠に終わった「1917」、たった今観てきました。
サム・メンデス監督といえばアメリカンビューティ、007スカイフォールの監督で、特にアメリカンビューティーの方はボクも大好きで今でも繰り返しみる数本の映画のうちの一つです。その監督が戦争映画を描くというので必見上等でしたよ。
第一次大戦のドイツフランスの西部戦線が舞台で、あとワンカット⁉︎で構成されてるという事前情報は入れた上で観ました。
ワンシーンワンカットでいくつかのシーンに分けて繋がれてると思っていたのですが、2時間まるごとワンシーンワンカットでした。それって可能なんですかね、可能でした。
暗闇のシーンや、塹壕内の土嚢をパンしてるあたりで切り返してるのはわかったけど、後は全部繋がってるように見えました。デジタル処理してるとはいえすごいですね。ワンカットってことは、2時間の上映中に同尺の2時間の物語が展開するわけで、つまり2時間の物語をそのまんま2時間で表現してる。ワンカットという話題性にこだわりたかったってことではなく、リアルさを究極まで追求した結果がそうなってしまっただけで、世界初のワンカットによる手法は絶対に貫きたかったのでしょうね。撮影も編集も想像以上に困難を極めたことでしょう。そこまでしてという執念を感じます。監督が自分の祖父から聞いた戦争の話をベースにしてるらしく、その記憶を映画を介して伝えたかった、それも究極的にリアルな方法で。
普通の映画はシーンやカットを割ることで時間軸を省略したり、過去や未来に転じたり場面を転換するのですが、その手法にたよってないので観る方はより生々しく感じられ、臨場感というかそこに自分がいるような錯覚すらありました。映画って設定の中に登場人物を配置してそこに人間関係を絡ませながら観る人の感情に訴えるのが常道なのでしょうが、そこがこの映画は違ってて、台詞も必要最低限で登場人物も多くはない、ただそこにあるのは視覚と聴覚に訴える迫力と上映時間そのまんまの時間軸だけなんですよね。だからよりその状況が生々しく伝わってくるようでした。サム・メンデスは設定やドラマで人間の心理の闇を見せるのが特徴的な監督なので、その作風とは全く違ったので面食らいました。アクションアクションしてるけどシンプルな設定と時間軸の効果でより近くに迫ってくるような、これまで見たことのない映画でした。
アメリカンビューティはまた見たいけど、1917は素晴らしい作品とは思うけど、もうみなくていいと思いました。だって戦場を走り回るのは疲れるから、。

f:id:maboo828jp:20200220210528j:image