ごぶごぶごぶの日記

お金をかけない東京散歩ほか、走ること食べること思うことを書いてます

書評

北条民雄「いのちの初夜」

いまでは治療法や感染予防も確立されたハンセン病(らい病)なのですが、この作者が生きた昭和初期から戦後あたりまでは不治の病とされ、らい菌に感染すると皮膚は爛れ髪は抜け落ち関節まで浸潤し骨角が変形していくという残酷な病だった。病状が一目で顕著…

侍女の物語↙︎マーガレット・アトウッド

NHKの番組でこの本が紹介され、とても面白そうなので即購入しました。 マーガレット・アトウッドの「侍女の物語」。 21世紀後半アメリカで起きた内乱の末に誕生した「ギリアデ共和国」がその舞台。地球環境は原発事故、大気汚染、核戦争の影響で土壌も大気も…

中森明菜「心の履歴書」

例えばイチローが高校最後の甲子園予選で本塁打7本と打率7割の驚異的な記録を残してプロ入りの切符をつかんだ話や、三島由紀夫が東大卒業後に就いた官僚の職を即辞して作家になる決心をし、自己の作品出版のために紙の調達(戦後の物資不足で印刷する紙がな…

桐野夏生「夜の谷を行く」

重信房子の釈放ニュースが報じられるタイミングに、NHKクローズアップ現代で放送された桐野夏生の特集。番組の内容は彼女の人となりやその多くの作品に込めた独自のテーマと、それが社会的弱者である若い女性に受け入れられている理由などが紹介されていた。…

浅草フランス座の時間

関西生まれの宝塚。その東京宝塚劇場の略称が「東宝」でそれがそのまま今の社名(現在はTOHO)になったって知ってました? そんなお話がたくさん書いてある本でした。 たけしフリークなボクがネトフリで「浅草キッド」を観て以来、70年代当時の浅草フランス…

戦争は女の顔をしていない

【今読んでる本】ウクライナ生まれでベラルーシ育ち、そしてロシアには親戚や友人が数多くいるという作家のアレクシエーヴィチがEテレに出てたので見てました。第二次大戦中のソ連女性兵士のインタビューを収録した「戦争は女の顔をしていない」などでノーベ…

西村賢太 死去

西村賢太が、亡くなったことに驚いてる。近年の芥川賞作家の中で自分と年も近いこともあり、妙な親和性を持てる小説家だった。同時にその作品やコラムなど読むにつけ、人気作家だけど迷惑で常識すら通じなさそうな人なので絶対に友達にはなりたくはないとは…

白の闇

ジョゼ・サラマーゴの「白の闇」です。テレビで紹介されたのを見て興味が湧き読みました。パンデミックを扱った小説といえばカミュの「ペスト」やデフォーの「ペストの記憶」があり両方とも読んだのですが、そのどれとも違うしどちらにも似てない架空の感染…

海と毒薬

去年は「夜と霧」その前は「井上成美」。夏のこの時期になると戦争に絡んだ本を読むことにしてます。それで今年は遠藤周作の「海と毒薬」でした。遠藤さんの作品は一時期ハマっていたこともあり、中でも映画化された「沈黙」や時代小説の「宿敵」が特に印象…

人新生の資本論

【人新生の資本論】なんかずっと本屋で売れてるので読みました。マルクス資本主義は知っててもマルクスその晩年の思想については知らなかった。冷戦以降の超資本主義(新自由主義)によってあぶり出された経済格差や貧困問題はコロナ禍によってさらに浮き彫…

カズオイシグロ クララとお日さま 読書感想文

【クララとお日さま】 本読むの遅い方ですがイシグロさんの作品は何故か早く読み終わります。しかし読んでる間は集中して物語に魂を持っていかれてるような感覚がある。 「クララとお日さま」イシグロさんノーベル賞受賞以来の新作です。 舞台は近未来のアメ…

前田さんが語る日米地位協定・日米合同会議

読書は作者の追体験だが、今は時間かけて本読まなくてもYouTubeで語られる情報を通して個人の経験や読書体験を得ることができる。ボクみたいに本読むの遅い人には都合が良い時代だ。矢部宏治って人が日米合同会議や地位協定の不条理について書いた本を読んで…

多和田葉子 献灯使

7冊読書レビューシリーズです。だいぶ間が空きました。 【多和田葉子 献灯使】ドイツ在住の日本人小説家で、ノーベル文学賞に村上さんより近いとされる作家の作品。 多和田さんのことはこの作品読むまでよく知らなかったです。たまたま思い出す機会があり今…