mabooの日記

政治の話。あほな話。ふるさと佐世保のこと。とか、いろいろ書いてます。

昭和枯れすすき

秋も深まってきたので。。

山の上や、草原でたくさんのススキたちが風にそよぐ光景をみるとですね。。 いや、東京なんかにいるとそんな風景など、まず見れないのだけれど、、 どこかでそんな写真を見るだけでも思い出す記憶がありましてね。。

小学4年生くらいのころでしょうか。。 半ズボンではすこし寒さを感じ始めたある秋の日の土曜日に、 ウチの兄貴がポツリと言ったんです。

「まぼ。明日冒険にでよう。あの山に登ってみよう。」って。。

家の窓から見える山は四方にあるのですが、北側にそびえるひとつの山を指さしてそう言いました。

「うん。おもしろそうだ、いこう。いこう。」

すぐにボクはただの好奇心のおもむくままにそうこたえた。

そうです、。あれです。無垢な少年だけがもつあの特有の、キラキラまぶしく、そしてなんだかあたたかい、なつかしいにおいがするあの感じ。です、、w

でも兄弟二人だけでいくのはすこし気恥ずかしいボクは近所の仲間を呼ぶことにし、 一応。「冒険」なので。冒険には食料が必要だから、そいつには弁当を用意するようにつたえた。 近所に住む同級生のT兄弟。にそのことを伝えると彼らも乗り気でその計画にすぐに応じてくれた。 兄がボクに何かを呼びかけて一緒に行動することはめずらしいことで、幼い頃は仲が良い兄弟とはいえない関係だった。のだが、 そこは、「冒険」なので、アニメやマンガにしか登場しないその言葉の力にフワフワと酔っていたぼくらは、あしたの冒険のことを夢見ながら二段ベッドの上と下でスヤスヤと深い眠りにつくのでした。

翌朝の早くに、家の前に集合をし、そして出発した。北の方角にそびえる山に向かって。。 「冒険」なので、なにか普段やってる基地ごっこや、路地裏の野球とは違う、現実離れしたイベントらしきものがないと、それらしい雰囲気がでないのだが、とくに何んにも起きない。んですよねw、。

まあそんなもんです。現実とは無機質で退屈で、ひどく単調に過ぎていくものなのです。。 途中でクサリにつながれたデカい犬が、急に犬小屋から飛び出てきてワンワン叫んだりするのがあるくらいで、 T兄が、ことさらそのことを取り立てて、

「お~!こえ~。。まぼ!冒険ば~い!」ってその犬よりバカデカい声で大騒ぎするのは、 彼なりの演出なのか、やさしさなのか。でもやっぱり、犬に吠えられるくらいではテンションは上がらなく、 やっぱりとくに何もおきないワケなんですよね。

それでも、ぐんぐん車道に沿って坂道を登っていき、いくつもの林を抜け、それなりにだんだん民家もなくなってきて、 周りは秋の山らしい、寂しい、殺風景な状況に変化していくのです。 自分の家や毎日通っている学校を見下ろすほどの位置までやってきた、あたりで、。 車道から外れた草地を右手に広がる「池」をのぞみながら歩いていると、 白い物体がひとつ、またひとつと地面に転がっているのをみつけた。

1,2,3,4。。10。。20。。って数え切れないほどの、白いものが。池のほとりに転がっていて。 そのさきの排水溝には、大量の白く小さいそれが浮かんでいた。 ゴルフボール。だった。 水上ゴルフ練習場っていうのがそこにあって。池に打った大量のボールが水に浮いていたのです。 一気にボクも他の全員も色めき立ち、テンションが上がるのを感じた。 今となっては、そんな大量のゴルフボールをみても何も感じないのですが、子供なので、しかも「夢見る冒険中」なので、 あとアホなんで、。仕方がないんです。w 一気に全員がテンションアップです。w

それで、T弟のほうが、こいつはさらにアホなんで、

「これはゴルフショップに持って行けば売れる!」とか、言い出して。ですね。

「まぼ。これ全部持って行っていいよ!」とか言い出すんです。それで、自分のバッグにゴルフボールをガンガン入れ始めるではあ~りませんか。。

さすがにオレも兄貴も、、いやいや。。それはやばいんじゃないのか。。って思いはしたのだけれど、 ひとつふたつほど、ポケットに入れようとしたところで、、 背後からクラクションをビービー鳴らしながら走ってくる軽トラックが目に入ってきた。

やべ。。こ、これは。。マズい?!  ゴルフ場の管理員だったのかな、、軽トラックの運転席には血相を変えて怒り狂ったオッサンが、何かを叫びながらやってきます。

「逃げろ!」

って兄貴が全員に叫び、オレとT兄は全速力で来た道をUターンして走った。 のだが、 T弟はまだゴルフボールに未練があるらしく、バッグにボールを入れるのを止めようとしない。 やっぱりアホですw

兄貴がそいつのバッグを蹴飛ばし、弟を引っ張ろうとしたところで、オッサンは車からおりて、兄貴と弟をつかまえるのをボクは確認すると、 オッサンはまた何かを叫びながら、逃げようとしていた僕らを怒り顔でこっちへ来いと手招きをした。

もう逃げられないことに気づくと、とぼとぼとオッサンの軽トラに歩いて行った。 4人は整列させられ、殴られるかと思ったけど、それはなかった。

事務所に連れて行かれ、一人ずつ名前と住所を聞かれ、どこの学校かも聞かれ、学校へ電話をされ、 明日の全校朝礼で、僕ら4人は全校生徒の前で、朝礼台にあげられて、そこでも怒られるのかな。。 いやだなあ、、恥ずかしいなあ。。なんて思ってると、 次にオッサンは言ったんです。

「おまえらの家にも連絡する。」って、そう言ったのです。 そりゃそうです。学校に電話するんだから、家にも連絡するでしょう。それは。。。 でも、ボクは、いやボクと兄貴にはそのことが一番恐ろしいことで、それはなぜかというと、 親父に知れることが一番恐れていたことなので、それを聞いた瞬間、気を失うほどの恐怖に苛まれたのをいまでも強烈に覚えてる。

親父に知られたら、絶対ボコボコに殴られる、コワい。 心臓の動悸が激しくなり、次第に呼吸が苦しくなり、ついにしくしくと、ぼくは泣き出してしまいました。 ウチの親父っていうのは、当時はものすごくコワい人で、顔も鬼瓦みたくイカツイし、体もデカいし、異様にマッチョ体型で、毎朝5時に起きて「うぉうぉ」言いながら筋トレするし、 毎日酒をのんで赤鬼みたいになるし、真冬も家ではブリーフ一枚姿で、なんかあるとすぐに手が出る、何もなくてもデカい声で怒鳴る、

特に兄貴に対しては異常に厳しく戸塚ヨットスクールの戸塚校長もびっくりのスパルタ親父だったのです。よね。

機嫌が悪かったりすると何もないのに怒鳴られたりもして、 今となっては虐待に近いくらいの、なんかそんな危ないような変な感じもあったりして、ですね。

とにかくコワくてコワくて、 一緒に晩メシ食うのも緊張する。くらいで、 今のボクの卑屈な性格というか、あまり人に対して心を開かない性分は ウチの親父の影響があるのかな、、なんて思たりするくらいです。

それほど強烈だった、あの親父にこの件を知られてしまうことを想像すると、それはそれは激しい恐怖だったのです。 ボクは泣くのを我慢しようとすればするほど、嗚咽が激しくなり、しくしくと泣くのが止められなかった。 でも兄貴は泣いてもないし、ちゃんとまっすぐに立って、前をみて 「すみませんでした。」って、オッサンになんか言われるたびに頭を下げて謝ってた。 それも覚えてる、。

オレより、兄貴の方がコワいだろうに。。 そのあと、4人は軽トラの荷台に載せられ、山を下り家につれて行かれるのかと思いきや、 全く逆方向の山頂を目指して走り始め、やがて頂上に着くと、荷台から下ろされ、 オッサンは「ここから歩いて帰れ」と言い、 そして僕らを置き去りにして、軽トラで走り去った。

若干拍子抜けした感はあったものの、親父に怒られるまでの時間がすこし延びたので ちょっとホッともしたのだが、やはりこれから家に帰ったことを思うと気が重い。んですよね。。

山の頂上は一面に枯れたススキがどこまでも広がっており、その風景の寂しさと秋風の冷たさが、僕たちの気持ちをさらに切なくさせていたのだけれど、 やっぱり子供はハラが減るw。ので、持ってきた弁当を広げ、4人とも無言で、その茫漠とした風景の中で車座になってメシを食った。 だれも何もしゃべらなかった。

T兄弟も、ボクも兄貴も。 それで食べ終わった後、 風にそよぐススキに囲まれながら、やっと兄貴が口を開いた。 そしてこう言ったのです。

「まぼ。昭和枯れすすきやな。。」

正直この状況で、「え?」って思いましたよ。

だって、「昭和枯れすすき」ですよ。w

そのワードは、僕ら兄弟の間では、当時ネタになっていたような言葉でもあり。 うちの親父が当時買ったばかりのカラオケマシーンで、母さんとデュエットで歌っていた曲で、その二人が声を張り上げて歌いあげる感じが子供たちにはおかしくてですね。。 その「昭和枯れすすき」のことを、この状況で兄貴はぼそっとつぶやいたんですよね。

なんか笑いましたよ。いや、強烈にオモシロくてオモシロくて爆笑してしまいましたね。 あの悲惨な状況で兄貴がおもろいことを言う、なんて想像もしてないし。普段はそんなことは言わない人なので、 そのギャップもあって、すごくオモシロくて、爆笑してました。

大人になって、そのことを兄貴に聞いてもぜんぜん覚えていないらしく、覚えてるのはボクだけなのですが、。

あんなに悲しい状況でも「笑い」の力でその状況は簡単にひっくり返るってことを学んだような気がした。。という話です。

あの日見た西側に暮れていく赤い夕日と、風に揺れるすすき、のびていく4人の影、初めて感じたなぜだか切ない気持ちが、ヒリヒリと痛々しく、その一つ一つのことがこの歳になると愛おしくも思えてくるわけやね。。 今日はえらく長くなりました。今週も仕事が忙しくて、休みの今日はどこへも出ずに家にこもって酒飲んでたらススキのニュース映像がテレビから流れてきて、そういうのを見てると、この記憶が思い出されて、なんか書き残したくなったのですよ。

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