桐野夏生の「グロテスク」っていう小説をよみました。
最近本を読む時間がなくて、、いや、そんなことはないのですが、 なんか夢中になれる作品に出会えなくてですね、、 ココしばらく、活字自体にぜんぜんふれてなかったんです。。
しかし、友人からの勧めで読んだ作品がですね〜、。 すごかったので それで、その友人が感想を書いてくれっていうので、なんとなく書いとこうということなのですがね。。w
桐野夏生作 「グロテスク」 東電OL殺人事件をモチーフにした作品で、ノンフィクション?! ではないのですが、 サスペンスでもなく、純文学なのか? いや、ちがうやろ・・・。 なんなのかね、どの部類に属する作品なのかわからないです。
まあ、そんなのはどうでもよくて、、 渋谷の円山町っていうホテル街で、昼間はエリート管理職として働く女性が、夜は立ちんぼの娼婦をしていて、ですね。 現在もその街に残されている、ボロアパートで、彼女は何者かに絞殺されてしまった。 それで、その犯人はまだ捕まっていなくて。。 という事件があって、ここまではホントの話です。。
97年当時、ワイドショーなどで大きく扱われていた事件で、なんとなく自分の記憶の中にもあり、 一昨年前に公開された、園子温監督の「恋の罪」でもその事件のことが描かれていたりして 自分の中にあった記憶が喚起されていた状態で、この作品に何かを期待しながら読みはじめたので 物語の中にすぐに入っていくことができました。
期待してたっていうのは、この奇妙な事件性に対する好奇心を満たしてくれる、のではないかという意味で、、 でもそんなチンケな興味なんかぶっ飛ばすほどの威力があって、びびりましたね。。
作者は、この作品を仕上げるためにかなり綿密な取材を重ねた。らしく。。。。 ホントにあったエピソードも練りこまれていたりして、ですね。 なんでしょうかね、、アレなんですが、、かなり、というか、相当、面白かったです。
年末なので仕事も忙しく、毎日終電近くまで働いてるにもかかわらず、 あんな分厚い上下巻を、一週間もかからずに読んじまったよ。。 ま。内容について触れるのも長くなるし、なんなので、書きませんが。。
セックスなしでは生きていけない怪物的な美貌をもち、自分を生まれつきの娼婦だと自からを認める女。
男に依存することを徹底的に拒否し、女を捨てたあげくに、生涯を処女として生き抜こうとするわたし。という女。
幾たびもの挫折の果てに、セックスに自己実現を見いだし、自分の存在意義をそこでしか得られなくなった女。
天才的な頭脳を持ち、努力によって何でも完璧にこなすことで自己のアイデンティティを確立し生きる女。
という同じ有名女子校のに通う、同窓生4人の女たちを軸に、物語は展開していきます。
終始ドロドロのグロくてエグい内容で、 なんの救済もない暗く孤独で、出てくる人物は全員もれなく不幸すぎて、 読んでいて息苦しくなる、痛々しい話です。
でも、おそろしく、おもろいんです。。 これまでに自分なりにいろんな小説を読んだ方だと思ってるのですが、 あんなタイプのは、正直読んだことないな、、くらいの衝撃がありました。 この作家はいつも、女性として生まれて、生きていくことが、 男性に比べて明らかに不公平でマイナスでしかない、 みたいなことを他の作品でもよく語ってる印象があるのですが、 ホントにそうなのかな?って思ってしまいます。
小説なので、作者の個人的見解が炸裂される場、 なので、読んでてなんか腑に落ちない点はいろいろあるんですが、 そこが一番強く感じました。
確かに日本は男性社会ということは否定はできないし、社会的に女性の地位が認められることは 男性に比べて厳しいという現実はある。でしょう。。 「社会的に」という意味においてですよ、。 でもそれが全てなわけではないわけではない、と思うのですがね。。 どうなのかね、、。 バリバリ働いて、地位もお金も得た末に、 満たされるものなんてそんなたいしたものではない。ってことです。
虚無ですよ。
どんなに努力してがんばってみたさきに、皆の賞賛や尊敬を受けたとしても、そこには結局は何もないんですよ。 あるのは一瞬の充足感と、新たな抑圧。だけ。 人は抑圧されると、自由を求めてもがく、その繰り返し。なんですよ。 これは作品中の言葉です。
うわ、、 なんか読書感想文って、書くのがむずいですね。苦手です。 結局、何を言いたいのやら、、 しかしこの作品は、女性にしか書けない女性独特の感性に満たされた すばらしい小説だとおもいます。
ネットで、いろいろとこの作品のレビューをみたりもしたのですが、 終始あらすじに徹した内容や、まとまりのない感想がほとんどで、 ボクが書いてるのもそのひとつに過ぎないのかもしれんのですが、 まあ、楽しませてもらいました。
こういうのもあるんやな〜、、って思った。。 ってことですねん。