ごぶごぶごぶの日記

お金をかけない東京散歩ほか、走ること食べること思うことを書いてます

白の闇

ジョゼ・サラマーゴの「白の闇」です。
テレビで紹介されたのを見て興味が湧き読みました。
パンデミックを扱った小説といえばカミュの「ペスト」やデフォーの「ペストの記憶」があり両方とも読んだのですが、そのどれとも違うしどちらにも似てない架空の感染症をテーマとした物語。
車で信号待ちをしていた男性が突然目が見えなくなり、その症状が次々と多くの人々に感染していく。失明した患者は廃墟になった精神病棟に強制隔離されるが、どんどん患者が増えていき、感染を恐れて看護師も医師も入らない施設の中は秩序も規律も完全崩壊し全員失明してるので床はうんこだらけでの悪臭まみれで、こっそりそこを脱走しようものなら外部から監視している軍の兵士に射殺されてしまう。時間を経るごとに感染症は増え続け、施設外の市中にも感染者が溢れ出し。街全体、地域全体、国全体がカオスと化していく。みたいな話です。
初めて読むタイプの小説でとても面白かったです。
登場人物には名前がつけられず、会話文にも「」がなく、つまりだれが喋ってるのかもわからない。まるで読者も目がえないような仕掛けで物語は進行していきます。でも海外の作品なので、翻訳の内容がちょっとわかりにくい部分もあるのでその辺は読者の理解度、力量が試されます。そんな作品。
サラマーゴはノーベル文学賞作家で、受賞のきっかけとなった作品。おもしろい本でした。

 

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